En Ja

JOURNAL

媒体として素材

1st July, 2019

カーテンの幕の向こう、暗い展示室の中、スポットライトを浴びているプロトタイプを覗くためテーブルの周りに人々が集まっています。あるテーブルでは、磁流により小さな鱗片状の断片が動いていてその隣は、糸や布、リボンや刺繍を用いた実験的な作品がが並んでいます。博物館や研究室を思わせるような雰囲気が漂うこの展示会では、ただの加工物や標本を超える「紙」という一つの素材に潜めている可能性に焦点を当てられた作品と言っていいでしょう。

竹尾ペーパーショウは、紙の可能性だけではなく、素材との触れ合いについても新しい視点を与えてくれます。紙はとても日常的なものであり、一見極普通に見えたり平凡に見えてしまう素材かも知れません。それが故に紙がどうやって来場客の様々な感情を引き出すのかを観察することはとても素晴らしいことでした。

2018年のペーパーショウで、特に興味深かった作品の一つは、田中義久さんによる土紙でした。本展のクリエイティブディレクターでありながら、アートブックをデザインしたり、飯田竜太とのアーティストデュオ「Nerhol」として彫刻的な写真作品を作ったり等、紙や印刷物を手がけている彼が本展のために作り上げた土紙という素材は、シンプルでありながら不朽の本質が光るものでした。

「風土によって形成された土は,その国の気候や気象条件,地形,地質などと合わせ,様々な歴史的事象,文化的背景を強く持った存在と言える。必然から経ち上がる風合いや色合いは,現代のヴィジョンを備え,装飾するための新たな紙へと進化する」

展示会カタログでで語った通り、土が生み出した豊かな色合いと質感を持つ紙はある地域の表現であり、「場所の肖像画」とも言われます。

紙という媒体はこの作品においての物語のプラットフォームとなり、素材に対する見方を変えるものでした。去年のペーパーショウ以来、素材への興味は続き、ストーリーテリングに関して新しい視点が生まれ質問を抱くようになりました。説得力のある物語を作成するためにメーカーやデザイナーからどのように学ぶことができるでしょうか。テキストを書いたり、写真を撮ったりすることに縛られることなく、私にとって肝心な部分である「物語」に焦点を当てようと思っています。

山々

僕は知られてない、でもどこかにありそうな山のランドスケープのイメージを 集めるのが好きです。夜明け前の鮮やかな空を背景に山の頂たちが黄金色に輝いているイメージだったり、山の暗いパノラマを風景にし、畑の上にまばらに農家たちが描かれているドローイングだったり。

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