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Union: One Design – One Handle

ライター/2019

1958年の創業以来、ユニオンはドアハンドルを作り続けてきました。美しくデザインされたドアハンドルで業界を牽引し続けてきた同社は、2019年のミラノ・デザイン・ウィークで建築家・田根剛とのコラボレーションによる展覧会を開きました。旧工場というロケーションで開催された「One Design – One Handle」は、ハンドル製造にも採用されている、「砂型鋳造」という古来から引き継がれてきた技法に焦点を当てています。現場では実際の鋳造プロセスをデモンストレーションしたほか、「Living Archive」と題したスペースでは型や道具、素材や鋳物を展示しました。

展覧会の構成にライターとして加わった私は、60作品に及ぶ展示品それぞれの背景にある物語を執筆しました。田根氏のリサーチや思考における考古学的アプローチからインスピレーションを受けるように、私はテキストの鍵となるテーマを見つけるため、同社のアーカイヴを掘り下げ、異なる世代のデザイナー数名にインタビューをしました。そしてより多角的な考察を行うため、アルミ鋳造所に赴き鋳造の複雑な工程の見学もしました。

それらを経て作成されたポスター状のパンフレットには、デザインや製造についての様々な物語と、何かを作るという行為や日常におけるデザインの役割などにまつわる考察を掲載。展覧会の体験に奥行きを与え、デザイナー、各国のクライエントや一般の来場者それぞれが持っていた、ドアハンドルという日常的なものについての認識を新たにする試みとなりました。

ポスター状のパンフレット。60作品に及ぶ展示品それぞれについて語る。

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